世界一周日記-中国と中央アジア

【タジキスタン】世界の屋根と自転車素人#06「横浜センセイがいた」

(前回↑の続き) 直らなかった自転車を引きずりながら宿に帰って(結局、修理代は払わなかった)、なんだかんだしているとあっという間に日が暮れた。この宿では夜の二時間だけwi-fiが使える。僕らはそれを求めて、ビール片手に屋外の縁側のようなところで寝…

【タジキスタン】世界の屋根と自転車素人#05「空気を読んだ自転車工」

(前回↑の続き) 車は谷間を進む。雲一つない青空は砂塵で霞んで、谷底をながれる川は山肌とおなじ茶色をしている。ランクルはこの細い未舗装路を飛ばして大型トラックを追い抜かしたかと思えば、対向車とすれ違うために急減速をするので、落ち着く暇はない…

【タジキスタン】世界の屋根と自転車素人#04「チャイと賄賂について」

(前回↑の続き) チャイで待つ 翌日。8月14日。朝5時に起き、荷造りを済ませて宿を出た朝7時。10分ほど自転車を押してバス溜まりに着くと件のドライバーとシルバーのランクル(トヨタランドクルーザー)が僕らを待っていた。さぁ出発!かと思ったが、そう…

【タジキスタン】世界の屋根と自転車素人#03 「アチチスタン」

ドゥシャンベに安宿は2軒しかない。その片方に3泊した。朝食付きで一泊7ドル。我々にとっては確かに安宿なのだが、タジキスタン人にとっての7ドルは決して安くはないのだろう。ドゥシャンベで唯一の欧米系高級ホテルにほど近い高級住宅街の中に立地した豪邸…

【タジキスタン】世界の屋根と自転車素人#02 「到着前の語り」

(前回↑の続き) 不意に目を覚ますと、飛行機はひたすらに乾燥した山々の上を行っていた。窓からの景色はあまりに変化しないので、飛行機がどれほど進んだのかは見当も付かずに僕はまた眠ってしまった。 言わせていただくと、 ところで、タジキスタンと聞い…

【タジキスタン】世界の屋根と自転車素人#01「名残を残す」

朝の7時である。機体は旅客を満載し、砂交じりで霞んだ空を進む。多くを漢字と漢民族に占められた機内に中央アジアの情緒はほとんど無いけれど、僕の右隣に座る中年の女性の目鼻立ちにははっきりと強弱があり、そして、極彩色のひときわ目立つ民族衣装を着て…

烏魯木斉の映画館で「万引き家族」を観る(ウルムチ・後編)

烏魯木斉でやったことと言えばこれに尽きる。 「万引き家族」といえば是枝裕和監督作品でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞したことでも名高い2018年の注目の映画の一つである。烏魯木斉の片隅に或る「十月影剧院」という映画館でこの作品を観た。「万引…

ブログのタイトルを冠した街にまつわる幾つかのメモ書き(ウルムチ・前編)

ここにご覧いただく文章は、ウルムチにまつわる小賢しい思考の断片と、それを全く裏付けないウルムチでの自堕落で無意義な生活の表象である。この文章は、日々記事を書こうと考えていたことを書き留めたメモに当たる前編と実際の行動に当たる後編に分かれて…

【北京】世界一周初日のはなし

〈更新久しぶりになってしまいました。リアルタイムでは中国を抜けてタジキスタンに来ています!〉 ドタバタで京都を出て、気が付いたら日本も出ていた。羽田発北京行の機内。機内サービスのお茶を啜る。機内サービスにはビールやワインなどのアルコールもあ…