敦賀=京都を歩く。地獄の90キロ行軍#03(リベンジ編)
↑前回の続き
(前回までのあらすじ)敦賀から歩き続けて、13時間、62キロ。僕と水戸クンは湖西線蓬莱駅にて行軍のリタイアを決め、リベンジを誓う。そして二週間後、僕らは再び歩き始めるのだった。
リベンジの蓬莱駅
来たる12月27日、僕と水戸クンはリベンジに向かいました。大学が終わった午後6時に時計台で待ち合わせをし、蓬莱へ出発します。
年の瀬の深夜。水戸クンは28日の昼には帰省するというし、平日は夜しか時間がないし、クリスマスに男二人で歩くのは寂しいし、忘年会があったりするしで、この日になったわけです。
明日から18きっぷで一日かけて茨城に帰るというのに30キロを歩く水戸クンはアホだし、前日の忘年会で、ももクロを踊りながらゴムパッチンとタバスコ直飲みをした僕の口まわりはヒリヒリでした。
蓬莱駅を出発したのは午後8時。前回よろしく、京都は晴れていたのに蓬莱駅では小雪が舞います。
でも、大丈夫。なぜならば僕は反省から学びましたからね。
まずね、めっちゃ着込んで、ネックウォーマーも買っちゃいました。で、手袋はまさかの二枚重ね。もちろんカイロ、貼っちゃいます。寒さは完璧。
さらに、荷物はもう極力減らします。重いとそれだけで疲れるから。上着、カイロ、傘。これだけ。
教訓をバンバンに生かして、金の力を使って、僕と水戸クンは意気揚々と歩き始めました。
今回は8時に蓬莱駅をスタートして30キロを歩き、深夜3時前後に帰宅する計画です。前回からの経験で夜は小休止による体温低下の影響が想像以上に大きいので、オーバーペースにならずに、かといって休みすぎないことを意識しました。
蓬莱駅を経って、すぐに山へと向かい始める登り道になります。標高が上がるにつれて、建物は減り、雪の量もどんどんと増えていきました。
でも大丈夫。めっちゃ着込んでるから、体はポカポカです。
雪の途中
雪も積もり始めています。
振り返ると僕と水戸クンの足跡がずっと後ろまで続き、その光景を見るとなぜだか脳内で「スタンドバイミー」が流れはじめました。ウェンザナイッ♪
そんなこんなで、頭の中のベン・E・キングがウェンザナイッウェンザナイッゆーとるうちに途中に着きます。22時です。
途中に着く?え、どういうこと?歩きすぎてついに狂っちまったか?と思われる方もいるかもしれません。歩きすぎて狂っちまった可能性に否とは言い切れませんが、別に間違ったことを言ってるわけではなくて、「途中」という地名があるのです。
まさに滋賀から京都へ向かう途中だから「途中」なのですが、途中行きのバスがあってりして、そーゆーの地理好きとしては興奮です。
途中を越えると京都に入ります。二週間にわたる滋賀との付き合いもこれまでです。ありがと、大好きだったよ。おやすみ。
絶対忘れたりしないよあなたの事
めーいっぱいの楽しさ
過去を愛しく思えるように心こめて
最高のおやすみ
じゃあねおやすみ
aikoは『おやすみ』という曲でこう歌いますが、
「あぁこの曲は滋賀県を二週間かけて歩きぬけて京都に入った時の気持ちを歌った曲だったんだ」とようやく腑に落ちました(嘘です)。さすがaiko、抜かりなく様々な出会いと別れを網羅しています。
京都にはいってからはずっと下り坂です。人里遠く離れた山道に雪がしんしんと降り続けます。静寂が僕らを包みます。
そこで、静寂、こんなに人がいないのだからと、僕らは爆音で音楽をかけ始めました。脳内ではめそめそしてるaikoにベン・E・キングがウェンザナイッウェンザナイッ歌いかけてました(嘘です)が、流したのは乃木坂46の夏曲、「ガールズルール」です。
で、僕は歩きながらコールを入れ、まいやんこと白石麻衣への愛をがなります。
海岸線を♪
「まいやん!!」
バスは進む♪
「まいやん!!」
空は高気圧♪
「超絶カワイイ!!まいやん!!!!!」
年の瀬の山道に「まいやん」の声が広がります(本当です)。その後も、乃木坂のヘビロテで僕のコールは雪のように降りやみません。
歩くと疲れるんだ
謎のテンションになった僕。結論から言えば僕はその勢いのまま予定通り3時過ぎに帰宅を果たしました。
寒さに見舞われることも無く、足の痛さに悩まされることも無く、乃木坂のライブから帰ってきたような充足感のままリベンジを果たしました。
そして、2017年が暮れていったのです。
とりあえずで福井からの90キロを歩き終え、リベンジ成功とはいっても疲れはするし、体は痛いしで、歩き続けるのはなかなか大変なことなのだ痛感させられました。
「歩くと疲れるんだ」という当たり前のことが身に沁みます。
歩いている時には忘れていましたが、これはパミールの練習であるわけで、この感じだとパミールを歩くのは厳しいだろうとも思わされました。
でもその一方で、歩くという行為の魅力に気付き始めたマゾな自分もいるのです。自分が行く道を車や電車があっという間に行くのに快感を覚え始めたのです。
やゔぁい。