【スペイン】イニエスタが死にました。

 

ブログをサボっててすいません。なんか忙しかったんですよ。バックパッカーなのに。1~2か月間、常に二週間先の予定が決まっているような感じで旅をしなくちゃいけなくて、正直ブログ書いてる余裕が無かったです。行きたいトコロも観たいモノもやりたいコトも山積みの日々でした。でもって、そんな日々が終わったかと思えばバレンシアで三週間ほどホームステイ&語学学校をかましておりまして、これはこれで忙しいし疲れてブログ書いてる余裕が無い。そしてようやく語学学校の方を全日程消化して、やっと一息付けるかな、ブログ書けるかなといったところだったんです。

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イニエスタが死にました。ここに来てイニエスタが死にました。

 

イニエスタ、覚えてますか?神戸のサッカーバリ上手いおっさんの事じゃないですよ。今年の冬、京都南のゼビオスポーツから移籍金9000円で獲得したKEENの茶色、アイツのことです。一介の大学生にとっての9000円は楽天三木谷社長にとっての30億と等しい、というところから当初からイニエスタと呼んでいるアイツのことです。身も蓋も無く言ってしまえば靴です。

 

イニエスタは街歩きからトレイルまでこなすマルチツールプレーヤーで、ここまで日本中を歩き、世界中を旅するまでに重用していました。しかし、それは連戦に次ぐ連戦の日々。身も心も摩耗しきったイニエスタが悲鳴を上げたのです。皮肉にも故郷スペインの地で。

 

バレンシアに3週間もいるのだから安い靴でも買ってイニエスタを休ませてあげよう。そう思って巷の靴屋で半額ワゴンに残ってた適当なスポーツシューズを買いまして、イニエスタを脱ぎ、労苦をねぎらうべくブラシでゴシゴシやっていると、あれ、と。コイツの靴底こんなに柔らかかっただろうか?こんなペコペコ鳴ってただろうか?と思うわけです。見るとすり減った左足のゴム底に穴が開いて中敷きが損傷している。そういえばジョージアにいる頃から何となく歩き心地が悪かったっけ。

 

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靴底の穴は靴にとってみれば選手生命の危機。サッカー選手が膝の半月板やったり野球選手が肘の靭帯やったりするようなもんなわけで、そこで夢が潰えるアスリートがたくさんいます。僕も彼に対する戦力外通告という決断も考えました。

 

でも、僕はそんな非情な決断をできなかった、したくなかった。仲間だから。大切な相棒だから。だから、決めました。手術という選択をすることに。

 

イニエスタを携えてバレンシアの外れにある小さな靴修理屋に赴きます。ラジオの音だけが聞こえる店内には大柄の男が一人。彼の首にかけたエプロンのひもが中尾彬よりもねじれにねじれています。エプロンのひもに無頓着な男に靴の修理ができるのかと一抹の不安を抱え、どうしようかと思案していると、やがて中尾彬よりねじれた彼が僕らの存在に気付き「どうしたんだ」とでも言いたげな視線を投げかけてきます。付き添いのクラスメイトを介して靴を修理したい旨を伝え、中尾彬イニエスタの負傷部分を見せると、彼は数度頷いて傍らから何かを取り出します。それは新たなる靴底。

 

移植手術。それ彬の出した結論でした。

 

ほんとうにこのネジネジ男を信頼して良いのだろうか。けれど、その淡々とした所作からは「オイオイオイオイ大したことじゃないんだよ」という自信を見て取れます。僕は中尾彬の手にイニエスタの命運を託すことに決めました。

 

翌週。イニエスタは4日間の故障者リスト入りを終え(ホントは翌日完成だったけど、面倒になって取りに行ってなかった)手術費用の8ユーロと引き換えに彼を引き取ります。

 

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イニエスタ。スペイン風に言うとイニエスタ・ヌエボ。中尾彬風に言うと志乃エスタ(今考えた)。…うん。悪くない!いい感じ!新しい靴底もそこまで違和感がない。新しい靴底はスニーカー用のものだからかつて程のグリップ力や歩き心地ではないけれど、それでもあの素晴らしい日々をもう一度味わえそうです。やっぱり伊達にエプロンのひもネジってなかった。エプロンのひものねじれは自信と経験と貫禄、すなわち中尾彬の表われだったのです。マジで中尾彬ありがとう。そして付いてきてくれたクラスメイトありがとう。ついでに志乃もありがとう。

 

てなわけでイニエスタが復活しました。これから僕と新イニエスタ(9000円と8ユーロ)の新しい旅が始まります。乞うご期待!

 

ところで、新しく買っちゃったもう一足はどうしよう、ねぇ志乃?。