今年を振り返って

 

早いもので2018年もあと少しで終わりです。僕にとって2018年という年は忘れられないものになっていくんだろうなという一年でした。

 

旅を始めたのが8月の頭。このブログを始めたのが5月の終わり。そしてこの旅の前日譚である長距離歩行を始めたのが去年の12月。同じ一年間の話だとはとうてい思えないほど、日々の環境が目まぐるしく変わっていく一年でした。

 

今こうしてスペインでパソコンと向き合っている自分も、福井の山道を死にそうにながら歩いていた自分も、京都の自宅で惰眠を貪っていた自分も、タジキスタンの荒野にポツンと佇む農家でホームステイしていた自分も同じ一人の人間です。時たま、あれは本当に自分の身に起きたことだったのだろうかと思う時があります。自分ではない誰かの体験を自分が体験したように思っているだけではないのだろうかと思う時があります。

 

改めて旅行(とりわけ長期旅行)というのは不思議な状態だなと思います。日々、行ったことない見たことないが待ち受けています。非日常の日常です。そして過ぎ去った日々が自分の中に過去として定着していく前に次の非日常が待ち構えています。そんな状態の流れの中に身を置いていると、一か月前の自分と今日の自分が繋がっているのかが分からなくなってきます。一か月前にあの場所にいたのは本当に僕だったのだろうか。それほどまでに目まぐるしい一年でした。

 

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また、孤独な一年でもありました。長い間一人で旅をしていて寂しいと思う時はしょっちゅうあります。もはや団体行動にストレスを感じるほど一人の自分に慣れてしまったのもまた事実ですが、中央アジアの二人旅を思い出して誰かと旅をしたいと思う時もあります。レストランに一人で入るのに気後れして結局ファーストフード店を利用して後悔するような日々でこれが自分の旅行なのかと愕然とすることも多いです。思ったよりも旅人や現地人と仲良くなれないし、思ったよりも自分に文化を理解するだけの教養はなかったし、思ったよりも世界を旅し尽くすほどのバイタリティがないし、自分の理想の旅行像みたいなものからは遠く及ばない現状に、自分が嫌になることもあります。結局、youtubeを見てネットサーフィンしている自分が悲しくなることもあります。

 

自分が主体的に動かない限り旅が進んでいかないのが一人旅のいい所で悪い所です。何かをやりたい、何かを見たいと思うことが旅の活力ですが、その一方で「せっかくだから…」とか「旅行をしているのだからどこかへ行かなくてはいけない」とか義務感めいた思いで毎日歩みを進めていることも否定できません。残念ながら旅に旅させられている自分がいます。

 

そんなことを思いながら旅をすることになろうとは露ほども考えていませんでした。今はヨーロッパにいます。ここまで西に向かって旅をしてきてアジア的側面で日本を感じることが徐々に薄まってきましたが、西欧の先進国にいると日本という国の秩序や基盤の多くがが西洋文明に習って成り立っているのだと再確認させられ、ある部分では日本と近しいものを感じることも多いです。

 

年明けからは新大陸へ行くことになると思います。ユーラシア文明圏を抜け出してこれまでと全く違った未知の大陸に行くことに不安とそれ以上の期待があります。2019年。心新たにもう一度旅を始めます。それでは皆さん良いお年を。